身体が整い始める、そのきっかけをつくる。
このたび、鍼灸是梵治療処の鍼灸メニューを、「梵の指鍼」シリーズとして新たに整えました。
名前を変えた理由は、メニューを増やしたかったからではありません。
これまでの臨床を振り返る中で、
「是梵では何を大切にしているのか」
「どのような考えで施術を組み立てているのか」
を、もっと分かりやすくお伝えしたいと思ったからです。
身体は、本来整う力を持っています。
身体は、外から誰かが治すものではありません。
傷がふさがること。
疲れが回復すること。
季節に合わせて変化すること。
私たちの身体には、本来、自ら整おうとする力が備わっています。
だから是梵では、「治すこと」よりも、その力が十分に働ける状態をつくることを大切にしています。
導律(どうりつ)という考え方
深響・上巡・下巡・動整は、まず「導律」から始まります。
導律とは、身体が整うことを妨げているものを静かにほどき、
本来の力が働きやすい状態へ導く、是梵独自の接触鍼を軸とした身体の調律です。
使用するのは、刺さない接触鍼だけではありません。
皮膚をやさしく擦るもの。
軽く叩いて刺激を伝えるもの。
素材や形状の異なるさまざまな接触鍼。
そして、お灸。
その日の身体の状態に合わせて使い分けながら、
皮膚や身体の緊張をゆるめ、身体が受け入れやすい土台を整えていきます。
皮膚は、身体で最も大きな感覚器です。
皮膚の動きが変わることで、筋肉や関節の動きも変わっていきます。
だからこそ、是梵では鍼を刺す前の「導律」を大切にしています。
その先にある、それぞれの調律
導律で身体を整えた後、お身体の状態に合わせて施術を組み合わせます。
深響(しんきょう)
全身のリズムを呼び覚ます、是梵の基本施術。
上巡(じょうじゅん)
肩・首を中心に、上半身の巡りと動きを整える施術。
下巡(かじゅん)
腰・臀部を中心に、下半身の安定と動きを整える施術。
動整(どうせい)
背部全体への鍼で、身体全体の連動性や動きのバランスを整える施術。
一方で、内響(ないきょう)は導律を行わず、
手足・頭・顔への鍼を中心に、身体の内側にある静かなリズムへ働きかける施術です。
目的に応じて、それぞれの施術を選択していきます。
最小の介入で、最大の反応を引き出す。
強い刺激が、必ずしも良い結果につながるとは限りません。
必要以上に加えるのではなく、身体が本来持つ反応を信じ、その力が働ける環境を整える。
それが、梵の指鍼の考え方です。
「身体を変える」のではなく、
身体が自ら整い始めるきっかけをつくること。
それが、鍼灸是梵治療処が目指す鍼灸です。
次回は、是梵の基本施術である「深響(しんきょう)」についてご紹介します。